公開日:
2025/5/22
更新日:
2025/12/1
2024年6月に一本化された「介護職員等処遇改善加算」について、国はその効果を検証していますが、上位加算(ⅠやⅡ)の取得率が低いことが問題となっています。国は多額な予算を投入して介護職員の収入増加を目指していますが、取得率が低いとその目的を達成できません。
ただし、この状況はある意味理解できます。
介護事務簡素化が求められる中、新しい処遇改善加算の事務処理は一向に簡素化されていないからです。処遇改善計画・実際の運用・給与への配分・実績報告などの事務作業は煩雑で、担当者の負担は大きいものです。
また、2024年度の処遇改善加算は、翌年度にも繰り越すことが可能になっていますが、その事務処理も手間がかかります。従業員への説明も必要なのですが、仕組みが難解なため、説明する側が「よくわからない」ということになりかねません。
加算を取得するための要件が3つあり、取り組みを行うのは簡単ではありません。
国はそのことを考慮し、2024年度は特例として「年度内に取り組むことを誓約すればOK」という緩和策を講じました。
これに加えて、2025年度もいくつかの部分で柔軟な運用が認められました。
表題の「処遇改善加算の更なる取得促進に向けた方策」で決定されたもののうち、「職場環境等要件」については、2024年度中に取り組むことを誓約すれば猶予されていましたが、これがさらに1年延長されることになりました。
現在、取り組みを行っていない事業者でも、2025年年度中に取り組みを行うことを計画書にて誓約するか、2024年度の補正予算で新たに導入される補助金(介護人材確保・職場環境改善等事業)の交付を申請すれば、要件を満たすことができると明記されました。
さらに今年度中の誓約で満たすとしていた「キャリアパス要件」の既存の経過措置が、1年延長して来年度も継続するとされました。
旧特定処遇改善加算の要件であった「最低1人以上の昇給後月8万円アップ、もしくは年収440万円以上」については、前者は廃止の方向です。後者の「440万円要件」に関しては、要件を満たせない場合でも、「合理的な説明」を行えば、幅広く認められるようになりました。
例えば、以下のような場合です。
- 小規模事業所などで職種間の賃金バランスに配慮が必要な場合
- 職員全体の賃金水準が低い、地域の賃金水準が低いなどの理由により、直ちに年440万円までの賃上げが困難な場合
- 年440万円の賃上げを行うにあたり、規程の整備や研修・実務経験の蓄積などに一定の期間を要する場合
今回のルール改定や緩和措置により、さらに多くの事業者が上位の処遇改善加算を取得しやすくなるかもしれません。
介護人材は「不足」から「枯渇」の時代に入るといわれています。介護職員等の収入を高めるためには、事業所はより上位の加算が取得できるよう努力しなければなりません。
そうしないと、介護職員から「選ばれない」事業所になってしまいかねないからです。
■厚生労働省老健局:
介護保険最新情報Vol.1352 https://www.mhlw.go.jp/content/001403387.pdf
介護保険最新情報Vol.1353 https://www.mhlw.go.jp/content/001403286.pdf

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