公開日:
2024/11/26
更新日:
2026/3/24
こんにちは!訪問看護のレセプト代行サービス「ケアチーム」の編集部です。
訪問看護における「長時間訪問看護加算」は、通常より長時間の訪問看護が必要な利用者に対して算定できる加算です。医療依存度の高い利用者や重症度の高い在宅療養者が増加する中で、この加算の理解と適切な運用は訪問看護ステーションの運営や経営にも大きく影響します。
しかし実際の現場では
介護保険と医療保険の違いが分かりにくい
別表8との関係が理解しづらい
どのようなケースで算定できるのか判断に迷う
といった声も多く聞かれます。
本記事では、訪問看護ステーションの管理者・経営者向けに
長時間訪問看護加算の概要やメリット
介護保険と医療保険の違い
算定要件
運用時の注意点
よくある質問
について制度のポイントを整理して解説します。
※本コラムの内容は、2026年2月13日開催の「中央社会保険医療協議会 総会(第647回) 資料 総-1個別改定項目について」、および「令和8年度診療報酬改定説明資料」に基づき作成しています。診療報酬改定に関する最新情報は、必ず厚生労働省からの正式な通知をご確認ください。
ケアチームでは、訪問看護のレセプト代行サービスを提供しています。お気軽にご相談ください。 ⇒ケアチームのサービス紹介資料を見る(無料)
長時間訪問看護加算とは、利用者の状態に応じて訪問看護が1時間30分を超えた場合に算定できる加算です。
人工呼吸器管理、褥瘡処置、点滴管理、家族指導など、医療的ケアが多岐にわたる利用者では通常の訪問時間では十分なケアを行えない場合があります。そのようなケースに対応するため、長時間の訪問看護を評価する制度として設けられています。
訪問看護ステーションにとっては、次のような意味があります。
重症度の高い利用者への対応評価
長時間訪問に対する適切な報酬確保
質の高い在宅医療の提供
地域医療機関やケアマネジャーからの信頼向上
ただし、介護保険と医療保険では算定条件が異なるため、制度の違いを理解しておくことが重要です。
長時間訪問看護加算には、利用者と訪問看護ステーションの双方にメリットがあります。
必要なケアを十分な時間をかけて受けることができる
医療的ケアが多い場合でも在宅療養を継続しやすくなる
家族への指導や支援も含めた包括的なケアが可能になる
例えば、人工呼吸器管理や褥瘡処置など複数のケアが必要な場合でも、長時間の訪問により一度の訪問で丁寧なケアを提供することができます。
長時間訪問に対する適切な報酬を確保できる
重症度の高い利用者の受け入れ体制を評価される
地域の医療機関やケアマネジャーからの信頼向上につながる
長時間訪問看護加算を適切に活用することで、利用者への質の高いケア提供と、訪問看護ステーションの安定した運営の両立が期待できます。
介護保険における長時間訪問看護加算は、要介護者または要支援者のうち、一定の医療管理が必要な利用者に対して算定できます。
【算定要件】
所要時間1時間以上1時間30分未満の訪問看護を行った後に引き続き訪問看護を行い、通算時間が1時間30分を超えた場合にケアプランに位置づけた上で算定します。
指定訪問看護ステーション 300単位/日
みなし指定(病院・診療所) 300単位/日
※介護予防訪問看護も同額
ケアプランに準ずるため、回数制限はありません。
◆厚生労働省が定める状態にある者(特別管理加算の対象に準ずる状態)
在宅悪性腫瘍等患者指導管理
在宅気管切開患者指導管理
気管カニューレの使用
留置カテーテルの使用
在宅自己腹膜灌流指導管理
在宅血液透析指導管理
在宅酸素療法指導管理
在宅中心静脈栄養法指導管理
在宅成分栄養経管栄養法指導管理
在宅自己導尿指導管理
在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
在宅自己疼痛管理指導管理
在宅肺高血圧症患者指導管理
人工肛門、人工膀胱の設置
真皮を越える褥瘡
週3日以上の点滴注射
医療保険における長時間訪問看護加算は、主に別表8に該当する者や小児在宅医療など、1回の訪問で長時間の医療的ケアが必要なケースで算定されることが多い加算です。
1回の訪問で1時間30分以上の訪問看護を実施した場合に算定できます。
5,200円/日
原則 週1回まで
ただし次の利用者では週3回まで算定可能です。
15歳未満の超重症児
15歳未満の準超重症児
15歳未満の特別管理加算(別表8)対象者
別表第8に該当する者
15歳未満の超重症児または準超重症児
15歳未満の小児であって別表第8に該当する者
特別訪問看護指示書に基づく訪問看護を受けている者
精神科特別訪問看護指示書に基づく訪問看護を受けている者
在宅悪性腫瘍等患者指導管理
在宅気管切開患者指導管理
気管カニューレの使用
留置カテーテルの使用
在宅自己腹膜灌流指導管理
在宅血液透析指導管理
在宅酸素療法指導管理
在宅中心静脈栄養法指導管理
在宅成分栄養経管栄養法指導管理
在宅自己導尿指導管理
在宅人工呼吸指導管理
在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
在宅自己疼痛管理指導管理
在宅肺高血圧症患者指導管理
在宅難治性皮膚疾患処置指導管理
人工肛門、人工膀胱の設置
真皮を越える褥瘡
在宅患者訪問点滴注射管理指導料の算定
※2026年度(令和8年度)診療報酬改定により、「在宅難治性皮膚疾患処置指導管理を受けている者」が別表8の対象に含まれました。
詳細はこちらのコラムをご確認ください。
【2026年度(令和8年度)診療報酬改定】難治性皮膚疾患への訪問看護、週4回以上の算定が可能に
介護保険と医療保険では、長時間訪問看護加算の算定要件や算定回数、加算額などが異なります。制度の違いを理解しておくことは、訪問看護ステーションの適切な運用や請求管理において重要です。
以下では、介護保険と医療保険の長時間訪問看護加算の主な違いを整理します。
保険種別 | 介護保険 | 医療保険 |
|---|---|---|
正式名称 | 長時間訪問看護加算 | 長時間訪問看護加算 |
算定時間 | 通算1時間30分以上の場合 | 1回1時間30分以上の場合 |
算定額 | 300単位 / 日 | 5,200円 / 回 |
回数制限 | 制限なし(ケアプランに準ずる) | 週1回まで(※例外あり) |
対象者 | 特別管理加算を算定する状態 | 別表第8に該当する者、15歳未満の準・超重症児、特別指示期間に該当する者など |
留意点 | 区分支給限度額の対象となる | 基本療養費に上乗せして算定 |
Q1: 利用者が長時間訪問看護加算を希望しない場合はどうすればよいですか?
A1: 利用者の意向を尊重しつつ、長時間のケアが必要な理由を丁寧に説明します。それでも希望しない場合は、通常の訪問看護で対応し、必要なケアを複数回の訪問で提供することを検討します。
加算の内容に関わらず、利用者やご家族が加算算定に同意しない場合は算定できませんが、前述の通り加算を算定する必要性をしっかり説明することは重要です。場合によっては、主治医やケアマネジャーの協力も有効かもしれません。
Q2: ケアプランより訪問時間が長くなった場合は算定できますか?
A2: 介護保険では、ケアプランに1時間30分以上の訪問看護が位置付けられていることが前提となります。予定外に訪問時間が長くなった場合はケアプランに位置付けがなければ算定することはできません。
Q3: 複数の看護師で訪問した場合、それぞれの時間を合算して長時間訪問看護加算を算定できますか?
A3: いいえ、複数の看護師が同時に訪問した場合は、実際の訪問時間で判断します。「個々の看護師」の時間を合算するという意味ではありません。
ちなみに、職種に関わらず同一の単位数を算定することができます。例えば、正看護師・保健師・准看護師のいずれかの職種の者が訪問されても、加算単位数は変わりません。ただし、療法士等が訪問した場合は、たとえ1時間30分を超えてサービス提供したとしても、長時間訪問看護加算は算定できません。
Q4: 2か所の訪問看護ステーションが介入している場合はどちらかのみの算定となりますか?
A4: どちらか一方のみの算定となります。隔週で違う訪問看護ステーションが算定することは可能です。
Q5: 医療保険の長時間訪問看護加算は、週に何回まで算定可能ですか?
A5: 基本的に週1回が限度となります。ただし、「15歳未満の超重症児又は準超重症児」または「15歳未満の別表8該当者」に対しては、週3回を限度に算定することができます。
(出典)厚生労働省「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法」P4
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001241061.pdf
Q6:ケアプラン上は1時間30分未満の訪問看護の予定であったが、アクシデント等によりサービスの提供時間が1時間30分を超えた場合は、長時間訪問看護加算として300単位を加算してよいのでしょうか。
A6: いいえ、長時間訪問看護加算は、ケアプラン上1時間30分以上の訪問が位置付けられていなければ算定できません。
(出典)厚生労働省老健局 介護保険最新情報Vol.79 P7
https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2009/12600/20090421_2shiryou.pdf
Q7: 長時間訪問看護加算の算定で、訪問時間は厳密に記録する必要がありますか?
A7: はい、訪問時間は正確に記録する必要があります。適当に訪問看護の時間を管理することは「不正請求」の温床になりかねません。
Q8: 医療保険での訪問が諸事情で30分未満となってしまった場合、請求は可能でしょうか?
A8: 医療保険の「訪問看護基本療養費」には算定ルールがあり、「30分から1時間30分まで」となっています。したがって、30分未満になってしまった場合は請求することができません。ただし精神科訪問看護については、当該利用者に短時間(30分未満)の必要性を認め、精神科訪問看護指示書に明記されている場合にのみ、30分未満の訪問であっても精神科訪問看護基本療養費の算定が可能です。
(出典)厚生労働省(近畿厚生局)HP「訪問看護療養費の取り扱いの理解のために(P27)
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/gyomu/gyomu/hoken_kikan/kango/3nenndohoumonnkangorikainotameni.pdf
長時間訪問看護加算は、医療依存度の高い利用者が増加する在宅医療において重要な制度の一つです。
訪問看護ステーションの管理者・経営者は、
算定要件の正確な理解
訪問時間の適切な記録管理
スタッフ教育
地域連携
を意識して運用していく必要があります。
長時間訪問看護加算を適切に活用することで、利用者の在宅生活の継続を支えるとともに、訪問看護ステーションの持続的な運営にもつながります。
出典:
令和8年度診療報酬改定について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
中央社会保険医療協議会 総会(第647回)資料 総-1個別改定項目について
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001655176.pdf
中央社会保険医療協議会 総会(第647回) 議事次第|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_70414.html
09_令和8年度診療報酬改定の概要 9.質の高い訪問看護の推進(厚生労働省)
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